まちの整理整頓


JR函館線(山線)沿線自治体の現在の人口とピーク時人口の比較

私の生まれ故郷・後志の余市町は、長くこの地域を支えてきた鉄道の廃線が決まりました。
駅の近くに生まれ、SLが走る姿を見て育ち、高校から7年間は汽車通をしていた身としては、まさかこの鉄道が廃止になる日が来るとは夢にも思っていませんでした。
さらに意外だったのは、地域においてかなり重要な選択を迫られるはずのこの件に対し、地元での鉄道存続に向けた住民運動が盛り上がりを欠き、あっさりと廃線が決まってしまったように思えることです。もちろん、一部の熱心な方々が鉄路維持を目標に活動されていたことは知ってしましたが、それがはたして全町的な盛り上がりを生んだかと言えば、恐らく答はNoでしょう。
あれよあれよという間に廃線が決まってしまったというのが偽らざる印象です。

さて、山線の鉄路を維持できなかった要因は様々考えられますが、中でも最も大きな影響を与えているのは、やはり何と言っても沿線地域の人口減少でしょう。
上のグラフは、山線沿線自治体の人口(2020年国勢調査人口)と、各自治体のピーク時人口を比較したものです。
これを見るとわかる通り、各自治体の人口が軒並み減少し、最も減少率の大きいところは、ピーク時から7割も人口が減った地域もあります。
これでは確かに鉄路の維持は難しいですね。
今朝の北海道新聞・小樽後志版では、本年1月1日の住民基本台帳によると後志管内20市町村の人口が20万人を割り込んだと報じています。
小樽市の人口ピークは1964年(昭和39年)の207,095人でしたから、今や後志全体を足しても、かつての小樽市のピーク人口に達しないことになります。

今後、日本は国全体として人口の増加が望めません。
地方の人口減少は一層厳しくなることが予想されます。
これまで各自治体は、人口増加にあわせて居住地を拡大し、インフラの整備・拡充を進めてきました。
しかし、これから先は、いかにして「カシコク縮むか?」を考えなくてはならない局面を迎えます。
鉄路の廃止もその一つですが、水道、道路、橋梁、住宅など、人口減少にともなって維持が困難になっていくものが山ほどあります。
一度大きくなってしまったものを小さくすることは、その逆のベクトルに比べ、極めて難しいアプローチが必要となります。

「まちの整理整頓」
--これは今後の地域づくりの重要キーワードとなるでしょう。
どういう発想や手法が考えられるのか?・・目下、このことを考え続けています。

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